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酒米石川門のお酒テイスティングコメント

日本を代表する若手ソムリエであり利酒師でもある辻健一氏に、石川門の酒をテイスティングしていただき、とても高い評価をいただきました。ソムリエならではの含蓄を含む、味わい深いコメントの数々。下記日本酒のテイスティングコメントは、その感想をまとめたものです。

(A)東栄松商店(神泉)薫酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ。第一アロマは、爽やかな印象。草原の中のある1本のリンゴの木のイメージ。少しフルーティーな甘さを感じる。焼いた餅のような香りもある。第二アロマは、フレッシュで蜜の入った青リンゴ。清涼感。ブーケは、成熟した青リンゴの香り。少しエステル香。柔らかく包まれているベールのよう。穏やかで少し柑橘系の香りもある。
●味わい
なめらかなアタックの後、舌先に心地よい刺激がある。酸は穏やかで、甘さは中程度。清涼感のある味わいで、若々しい苦味あり、後に旨味に変わる。フレーバーは、熟れた青リンゴ。余韻は、10〜11秒と長く、フルーティーさと苦味がしっかりと残り、旨味となる。ピリッとした刺激が舌に残る。

(B)吉田酒造店(手取川)薫酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ〜中程度。第一アロマは、干し草の中にフルーティーさを感じる印象。納屋や古めかしい家屋中に籠盛りの洋梨があるイメージ。ドライアップルや檜、クルミ。奥からリンゴのコンフィチュールの香り。第二アロマは、キャンディー、バナナの甘い印象。ブーケは、華やかさが前に出てくる。黄色い花や桃の香り。桜の木の下にいる感じ。湿ったキノコやスモーク、木樽のような苦いニュアンス。

●味わい
なめらかなアタック。切れも良い。フルーティーな甘みを感じる。角のとれた苦味からくるコクのある旨味。フレーバーは、熟したリンゴや食べごろのバナナの香りなどがまとまっている。余韻は、7〜8秒、かなり丸まったある旨味とほのかな苦味、つきたての餅も感じる。

(C)宗玄酒造(宗玄)薫酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ〜中程度。第一アロマは、爽やかさの中にある甘い印象。濡れた笹、成熟したリンゴや若いパイナップルなどのトロピカルフルーツも感じる。第二アロマは、少し爽やかで熟したリンゴの香り。ほのかに苦味を感じる香りもある。ブーケは、甘さが強くなり、華やかな香りとなる。洋梨のコンポートやバナナの香り。花の蜜の香りも感じる。
●味わい
柔らかいアタック。切れも良い。何か明るくなるような味わい。丸い苦味もあり、旨味もある。すべての角がとれたイメージで丸くまとまっている。軽快で味わいが溶けている。フレーバーは、清涼感とリンゴや洋梨の甘さ。余韻は、8〜9秒、苦味とアルコールからくるドライな感じ。

(D)武内酒造店(御所泉)爽酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ〜中程度。第一アロマは、落ち着きのある印象。青リンゴ、ほのかにマスカットの香り、フュメ、乾いた木、ミネラル、干した草も感じる。第二アロマは、爽やかな香り、杉の香り。スーッと1本筋の通った感じ。ブーケは、石清水、リンゴのゼリーのような爽やかな甘い香り。若干ヨード香。
●味わい
まろやかなアタックとアルコールからくる刺激のあるアタック。もろみの甘さを感じる。酸は穏やかで、苦味は少なめ。丸みを帯びた味わい。フレーバーは、青リンゴやマスカットの香り。余韻は、7〜8秒、しっかりとした旨味とほのかな苦味が残る。最後にパピエの印象。

(E)小堀酒造店(萬歳楽)薫酒タイプ
●香り
ボリュームは多め。第一アロマは、甘い印象。洋梨のコンポートにレモンを絞ったような香り。砂糖菓子やユリの花、バラの香りもする。華やかなイメージ。少し刺激のあるフュメ。第二アロマは、優しい白い花の香りとエステル香。ブーケは、エステル香から甘いリンゴのタルトの香り。ラムでフランベしたバナナ、ぎりぎりまで成熟した白いフルーツのニュアンス。
●味わい
ふくよかなアタック。酸はまろやかでほのかに甘さを感じる。苦味からくる旨味も感じる。切れ味もよく、コクもある。アルコールからくる心地よい刺激もある。フレーバーは、すったリンゴや乾いた木の香り。余韻は、8〜9秒、アルコール感と旨味、苦味、熟れたリンゴのニュアンスが残る。

(F)数馬酒造(竹葉 無濾過生原酒)爽酒タイプ

●香り
ボリュームは中程度。第一アロマは、華やかな甘い印象。成熟した黄色いリンゴや熟れたバナナの香り。少し米からくる旨味も感じる。第二アロマは、少し煮詰めた黄色いリンゴ、洋梨のコンポートの香りが少し強めに感じる。ブーケは、少し穏やかになり、切りたての洋梨やリンゴのようなフレッシュさを感じる。石清水 や濡れた笹の香り。竹林の中に黄色い花畑があり、風がその香り運んでくるイメージ。
●味わい
とろりとしたアタック。まろやかな甘味とふくよかな苦味、酸は柔らかいがしっかり感じる。かなりボリュームのある味わい。旨味のしっかりのっている。全体的にボリューム感があるが、酸がうまく全体をまとめている。フレーバーは、成熟した黄色いリンゴと湿ったキノコや干し草の香りが少し感じる。余韻は、7〜8秒、清涼感があり、苦味からくる旨味をしっかり感じる。心地よい酸も残る。

(G)福光屋(金澤)薫酒タイプ
●香り
ボリュームは多め。第一アロマは、甘く華やか印象。奥から少し無機質なミネラルも感じる。熟したバナナ、洋梨のコンポートなどの甘く熟した香り。第二アロマは、甘く煮詰めた青リンゴのような甘く爽やかなイメージ。ブーケは、華やかさから芯の通ったしっかりとした香りに変わる。乾いた木の香り。奥から甘いフルーツ香、たとえばマンゴなどのトロピカルフルーツを感じる。全体的に甘く華やかな香りが支配する香り高き酒。
●味わい
ふくよかなアタック。リンゴのような甘味の後、苦味としっかりとした旨味を感じる。酸は穏やかで、切れは良い。ふくよかなコクを持つ、しっかりした味わい。フレーバーは、青リンゴや洋梨の印象。余韻は、7〜9秒。柔らかい苦味と優しいコクが残る

(H)能登末廣(和の絆)熟酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ〜中程度。第一アロマは、少しひねた男性的な印象。焼いた豆もちのような苦味を感じる香り。燻したような香りもする。奥からフレッシュなリンゴを思わす優しい甘い香り。第二アロマは、落ち着きのあるしっかりとした香りを感じるフルーツ香というよりもミネラルや石清水、少し麝香も感じる。ブーケは、華やかさが前に出てくる。黄色い花やアンズの種の周りの香り。その甘い香りをまとめる力強い燻香が漂う。

●味わい
なめらかなアタック。フルーティーな甘さがあり、酸と苦味は穏やか。柔らかい旨味を感じる。まとまりも良く、切れも良い。フレーバーは、熟した青リンゴのような爽快感とフルーティーさがある。若いバナナもある。余韻は、7〜8秒、穏やかでまとまりのある印象。ほのかに苦味が残る。

(I)久世酒造店(長生舞)爽酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ〜中程度。第一アロマは、優しい爽やかさで甘い印象。白い花と青い植物の香り、一面に広がるクローバーの中に咲くシロツメクサのような。少し苦味を帯びた香りが全体を引き締めている。第二アロマは、とても繊細で少しの爽快感とミネラル。ブーケは、一転男性的な力強い香りが支配し、奥から洋梨のタルトを思わす、甘く香ばしい香りを感じる。香りは穏やかながら、とても複雑な香りが楽しめる。
●味わい
柔らかいアタック。切れも良い。とても軽快で、甘味、苦味、旨味、酸味それぞれがコンパクトにまとまっている。でも、米の旨味が後からしっかりと残り、この酒の印象を強めている。フレーバーは、フレッシュなリンゴ印象から、干し草のようなフレーバーに変わる。余韻は、7〜9秒、柔らかい苦味がしっかりと残る。

(J)清水酒造店(能登誉)爽酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ。第一アロマは、青く甘い印象。最初に成熟したマスカットを感じ、その後しっかりとしたアルコール、まるでオー・ド・ヴィ・ド・スリーズのような香りが出てくる。第二アロマは、穏やかで洋梨のコンポートの香り、ミネラル、乾いた木の印象。今度は、オー・ド・ヴィ・ド・ポワールの香り。ブーケは、落ちつきのある香りで、鼻を刺激する白胡椒の香りの中からか、蜜の入ったゴールデンデリシャスの香りを感じる。少しおかきのような香ばしい香りもする。全体的に控え目な香りだが、一つ一つの香りがしっかりアピールして印象を強めている。

●味わい
さらしとしたアタック。軽快でスムーズな口当たり。ほのかな苦味と甘味があるが、穏やかな酸が全体をうまくまとめている。少しの苦味からくるほのかな旨味が心地よい。フレーバーは、爽快なイメージ。青リンゴやマスカットの香り。余韻は、7〜8秒、柔らかい苦味と旨味がやさしく残る。

(K)桜田酒造(初桜)薫酒タイプ
●香り
ボリュームは少なめ〜中程度。第一アロマは、瑞々しい甘い印象。日本のチェリー、成熟した青リンゴ、メロンのような青く甘い香りも感じる。白い花の蜜の香りもする。第二アロマは、優しい白い花の香りとエステル香。ブーケは、青リンゴのコンフィチュールの爽やかで甘い香り。少し乾いた草のような香りも感じる。苦味を帯びた香りやミネラルもある。角のとれた丸みのある印象が全体的にあり、一見華やかでふくよかな香りだが、奥からしっかりとした締りのある香りが出てくる。

●味わい
なめらかなアタック。とても丸く、甘さと苦味、酸のバランスが良い。苦味からくる旨味も感じる。切れ味もよく、少しコクもある。アルコールからくる心地よい刺激もある。フレーバーは、熟したリンゴと爽やかな香り。余韻は、7〜8秒、ほのかな旨味と心地よい苦味が残る。

(L)中村酒造(石川門)薫酒タイプ
●外観
この酒だけ少し濁りを感じ、若干の気泡、そしてグリーンがかった少し濃いめのレモンイエロー。
●香り
ボリュームは中程度。第一アロマは、熟した甘い印象。かなり成熟した洋梨やバナナ、パパイヤなどのトロピカルフルーツも感じる。シロップのような甘さがある。その中に少しだけ笹のような清涼感もある。第二アロマは、ドライアップルや黄色いリンゴのジャム、ミネラル、薫香も感じる。ブーケは、香りのボリュームが広がり、南国のバナナ園にいるような濃厚な甘い印象。ただ甘いだけでなく、その甘さを引き締めるリンゴの持っている酸の香りがある。ふくよかで濃厚な香りが、時間とともに広がっていく。

●味わい
とろりとしたアタック。まろやかな甘味とふくよかな苦味、酸は柔らかい。苦味の後からくる旨味のしっかりのっている。全体的に甘い印象が強いが、しっかりとした苦味が全体を包み込み、舌の上に旨味を残している。フレーバーは、口の中でとても広がり、最初にリンゴや洋梨のコンポートのような甘いフレーバーが口の中を支配するが、後に苦味がその甘いフレーバーを引き締める。余韻は、9〜10秒、ふくよかで、苦味からくる旨味をしっかり感じる。 ○昨年仕込んだお酒

(M)やちや酒造(加賀鶴)熟酒タイプ
●香り
ボリュームは中〜多め。第一アロマは、ひねた、力強い印象。ワラやべっ甲飴、カラメル、ひまわりの種子、いぶした香り。リンゴの蜜の部分。第二アロマは、フュメ香やドライフィグの香り。ブーケは、落ち着きが出てくる。ほのかな甘さとべっ甲飴、ナッツ、バタートースト、アーモンド、グリセリンの香り。

●味わい
やや厚みのあるアタック。酸味と苦味を感じる。苦味からくる旨味も感じる。酸からはドライ感を与えてくれる。コクはしっかりあり、キレも良い。フレーバーは、乾いた木のような苦味のニュアンス。余韻は、8〜9秒、アルコールからくる乾いた感じ、豪快な苦味とほのかな酸味。

(N)金谷酒造店(高砂)醇酒タイプ
●香り
ボリュームは弱め。第一アロマは、フルーティーな優しい甘い印象。リンゴやバナナ。第二アロマは、ミネラル、石清水を感じる。ブーケは、もう少し華やかさが広がり、成熟した青リンゴやバナナ、切りたての洋梨の香り。
●味わい
丸みを帯びたアタック。ほのかな甘味と柔らかい苦味、酸は穏やかで、全体的にまとまりのある味わい。フレーバーは、成熟した青リンゴと焼いたアーモンドの香り。余韻は、9〜10秒、アルコール感と心地よい苦味が長く残る。

(O)数馬酒造(石川門仕込み)醇酒タイプ
●香り
ボリュームは弱め。第一アロマは、少し焼けた石、若いバナナの香り。かなり穏やかな香り。第二アロマは、少しひねた香り、朝露に濡れたシダの香りもする。ブーケは、清涼感が強くなり、干したリンゴのニュアンスも感じる。奥から干した藁やカマンベールチーズの白カビの香りも漂う。

●味わい
かなりしっかりとしたアタック。男性的でドライに感じる。苦味はほとんど旨味に変わっていて締りのある苦味がわずかに残る。酸も適度。とても切れがよい。コクもしっかり感じる。フレーバーは、洋梨のコンフィチュールや成熟したリンゴ。ドライアップルも感じる。干し草や樹皮のニュアンスもある。カシューナッツの香りもあり、含んだほうの香りが強く複雑に感じる。余韻は、12〜13秒、タイトな苦味と心地よいひね香、苦味からくる旨味がしっかり長く残る。