飲み物とお料理とを組み合わせるマッチングを、ワインの世界では、それぞれの良さをさらに引き立てるところからマリアージュ(結婚)といいます。マリアージュには3通りあります。ひとつ目はお料理がさらに美味しく感じる組み合わせ、ふたつ目は飲み物がさらに美味しく感じる組み合わせ。そして、みっつ目はお料理も飲み物もお互いを引き立て合い、至高の味わいになる組み合わせで、このことを最高のマリアージュといいます。 【コメント:辻 健一】
お酒と料理のマッチングで、日本酒の世界がより一層広がります。
創作じわもん料理とのマッチングをご参考に、ご家庭でもぜひお試しください。
以下のお料理は、金沢市東山に位置する料亭旅館「山乃尾」が提案された創作じわもん料理です。お店でもメニュー化されております。また、酒米石川門創作じわもん談義におきまして酒米石川門の酒とのマッチングについの説明を行ない、大勢の参加者の方より高い評価をいただきました。
●酸味を主体としたお料理
内容:加賀芹、鯛の昆布締め、ぽん酢ゼリー
相性の良い日本酒:爽酒、薫酒
加賀芹は軽く酢洗いしたもので、爽酒が合わせやすいでしょう。鯛の昆布締めも旨味は穏やかで優しい味わい。よって、爽酒が良いと思われます。しかし、ぽん酢ゼリーの香りと味わいが加わると、薫酒がより合ってきます。このお料理は、3つの味わいを合わせて食べる場合は薫酒を合わせ、加賀芹や鯛をそれぞれで食べるときは爽酒を合わせると良いでしょう。
●あっさりとしたお料理
内容:内容:スープびたし
(加賀蓮根、一寸豆、菜の花、たらめ、スナックえんどうを一昼夜干し貝柱のだしでマリネする)
相性の良い日本酒:爽酒
全体的にあっさりとしたお料理なので、爽酒が合わせやすいでしょう。薫酒は香りが強く残り、熟酒ではお料理の味をかき消してしまいます。干し貝柱と一緒に食べるときは、醇酒も良いでしょう。
●御吸物
内容:青豆仕立、半熟玉子(能登健康卵)、才巻海老、蕨、木耳、人参、大根
相性の良い日本酒:醇酒、爽酒
日本酒の素晴らしさは汁物にも合わせることができるところにあります。ワインにはできないことです。このお料理は青豆の青青しい香りと、玉子のコクととろみに、海老の食感が加わります。玉子と海老を加えなければ爽酒に合わせますが、三味一体となった時は醇酒が合わせやすいと思われます。玉子だけを食べるなら、熟酒でも良いでしょう。
●しっかりとしたお料理
内容:加賀蓮根のみたらし焼き、蕗の薹の天麩羅
相性の良い日本酒:醇酒、薫酒
加賀蓮根をすり身にしたものに、それぞれフォアグラと大徳寺納豆が入っています。それにみたらし餡をかけて仕上げたお料理です。フォアグラの脂分、大徳寺納豆のピリ辛感をうまく包み込むのは、醇酒でしょう。蕗の薹の天麩羅には、薫酒が合わせやすいと思われます。
●出会いを考え、楽しむお料理
内容:金時草の酒盗玉子和え、穴子の粕漬、筍の煮込みと蕗の薹の素揚げ
相性の良い日本酒: このお料理は皆様に組み合わせを考えていただくための、山乃尾の料理長からの提案です。それぞれに特徴のあるお料理と4タイプの日本酒とのマッチングをお試しください。